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千葉文学賞受賞者リレーエッセー
手島みち子の みちも歩けば
神様のプレゼント
クリスマスが近づき、私のまわりでも、小さなお子さんがいるお母さんサンタたちがあれこれ頭を悩ませている。その様子はとても微笑ましく、ふんわり心が温まる。そしてそんな時、昔どこかで聞いた話を決まって思い出す。こんな話だ。
ある人が地上での人生を終え、天国の門に着いた。門番のペテロが満面
の笑顔でその人を抱きしめて出迎え、見知らぬ世界を案内してくれた。すべてが素晴らしく、想像したこともないほど美しい。嬉しくてたまらなくなったその時、巨大な倉庫のような建物が目に入った。
「あれは何ですか?」「あっ、あれはだめです」ペテロの制止も聞かずに、その人は建物のドアを開けた。するとそこには数え切れないほどのプレゼントの箱がうずたかく積まれていた。「このプレゼントは一体?」そう問いかけると、ペテロは悲しそうに答えた。「これはすべて、あなたが地上で生きている間にプレゼントしようと神様が用意されていたものです。でも、あなたが受けとらなかったので、ここにこうして積まれたままになっています」。
この話を聞いてから、私は時折、神様が用意していたプレゼントの中身は何だったんだろうかと想像する。そして、私に用意してくれているプレゼントは何だろうかと考える。いまこうしてリレーエッセーの機会をいただいていることも、プレゼントのひとつだろう。もしも私が日常の忙しさにかまけてお断りしていたら、天国の倉庫に「エッセーの機会」というプレゼントは積まれてしまったに違いない。プレゼントは喜ばしいものばかりではないかもしれない。人生の中で訪れる耐えがたいような悲しみも、「誰かの心に寄り添う」というプレゼントだとしたらー。
今年、神様から受け取り損ねたプレゼントはなかっただろうか。この小さな人生を存分に味わい、いつか天国に行ったとき、空っぽの倉庫を見たいと思っている。
(劇団主催、千葉市在住)
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千葉日報(日刊) 2016年(平成28年)12月5日(月曜日)より
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